システム運用やシステム保守は、初心者・未経験者でも求人が行われているIT職です。しかし、こうした仕事はマニュアル化された手順に従って作業をすることが多いため、IT技術者としてのスキルアップには結びつかないという話もよくあります。こうした考え方は、一部は正しいですが、全体としては間違いです。
システム運用やシステム保守がスキルアップにつながりにくい要因は、仕事の範囲が限定されているからです。確かに幅広い経験を積むことができればスキルアップにつながるでしょう。しかし仕事が限定されていることはスキルアップできない理由にはなりません。むしろ、ひとつのシステムを徹底的に研究する時間のあるシステム運用・保守の仕事だからこそ、スキルアップしやすいのです。今のITシステムは、多くがインターネットを通してさまざまなマシンと接続しています。そのため、サーバやアプリケーション、データベースだけでなく、ネットワークについての知識も必要です。さまざまな分野の技術がシステムの中に含まれているなら、システムを通してスキルを磨くことも十分可能です。
たとえば、システムのパフォーマンスが低下しているとき、時間の許す限り、自分の興味からいろんな要素を検討してみるとよい勉強になります。ディスクの容量だけでなく、ネットワークの状態や、データベースの設計の問題かもしれません。スキルアップのためには、さまざまな経験も大事ですが、より大事なのは目前のシステムと自分の知識を関連づけて考えることです。それが知識を定着させ、好奇心を呼び起こして学習意欲を高め、スキルアップの原動力になっていきます。